乗り物の種類
タイ国内には、日本と同様に公共交通機関が充実していますので、観光や移動の際にも気軽に使えて非常に便利です。
近年では特に電車(高架鉄道や地下鉄)のインフラが急速に発達しており、新たな路線が開業したり既存の路線が延線されたり目覚ましい勢いで発展しています。
ここでは、タイ国内を移動する際の乗り物を中心にご紹介いたします。
効率良く快適に移動したい方や、景色を楽しみながらのんびり移動したい方など、様々な旅のスタイルに合わせてチョイスしましょう!
長距離移動
飛行機
タイ国内遠方の主な都市への所要時間は、おおよそ1時間30分前後になりますので、移動時間を重視してチョイスする場合は飛行機の一択になります。
タイ・エアアジアやノックエア、タイ・ライオン・エア、タイ・ベトジェット・エアなどのLCC(格安航空会社)が充実しており、頻繁にプロモーションも開催していますので、タイミングが良ければ驚くような金額で移動することができます。
LCC(格安航空会社)は、主にドンムアン空港から発着していますので、タイ国際航空やバンコク・エアウェイズの発着するスワンナプーム国際空港とお間違いのないようご注意ください。
鉄道(長距離鉄道)
タイの長距離鉄道は、主に「北本線・南本線・東北本線・東本線」の4つの路線があります。
- 北本線(北部)
- アユタヤやピッサヌロークを経由してチェンマイへ
- 南本線(南部)
- ホアヒンやスラーターニー、ハジャイを経由してスンガイコーロックへ
- カンチャナブリーを経由してナムトックへ(旧泰緬鉄道)
- 東北本線(東北部・イサーン地方)
- ナコーンラーチャシーマー(コラート)で分岐、コーンケンやウドーンターニーを経由してノーンカーイへ
- ナコーンラーチャシーマー(コラート)で分岐、スリンやシーサケートを経由してウボンラーチャターニーへ
- 東本線(東部)
- チャチューンサオで分岐してアランヤプラテートへ
- チャチューンサオで分岐、シラチャやパタヤを経由してサッタヒープへ
寝台の夜行列車も運行していますので、時間に余裕がある方や鉄道好きな方は、ノンビリ長距離列車での移動がおすすめです。
料金はクラスにより異なりますが、バンコクからチェンマイまでの2等列車で約800バーツとリーズナブルな料金で御利用いただけますが、特に人気のある1等個室は数も少ないため、事前の予約が必須となります。
また、2023年よりフアランポーン駅からバーンスー中央駅(クルンテープ・アピワット中央駅)へ主要ターミナルとしての機能が移転されたため、長距離列車の発着は一部を除きバーンスー中央駅へ変更されましたので、ご注意ください。
長距離バス
遠方主要都市への路線が充実しているタイでは、長距離バスもポピュラーな移動手段になります。
座席クラスも快適な3列シートや一般的な4列シート、VIPクラスなど各運行バス会社により車両タイプの設定がありますが、どのクラスもリーズナブルな運賃でご利用いただけます。
長時間の乗車になりますので、途中休憩を挟みますが、くれぐれも出発時間に遅れないようご注意ください。
近郊への移動
電車
ここ近年、新規路線の開通や既存路線の延線など、大きな発展を遂げているバンコクを中心とした鉄道網、少し前まではBTSスカイトレインとMRTメトロのみでしたが、現在ではイエローラインやレッドライン(ダーク/ライト)、パープルライン、ゴールドラインなどが運行しています。
ラッシュの時間帯にタクシーやバスで移動すると悲惨な目に遭いますので、時間の限られている旅行者にとって非常に心強い味方になっています。
利用者の多い駅や時間帯によっては、乗車券購入の販売機や窓口が非常に混雑します。
窓口で交通系ICカード(SuicaやPASMOのようなカード)も購入できますので、電車をメインに利用される方は事前に入手しておきましょう!
スクンビット通りやパヤータイ通り、パホンヨーティン通りの上を走行するBTSスカイトレインのスクンビット線、通称ライトグリーンラインと呼ばれています。
MBKセンターの最寄駅サナームキラーヘンチャート駅(ナショナルスタジアム駅)から発着するBTSスカイトレインのシーロム線(ダークグリーンライン)、主にシーロムやサトーン、リバーサイドのエリアを運行している路線です。
日本の都営地下鉄大江戸線と同様「6の字型運転」となっているMRTブルーライン、バンコク中心地の主要駅であるシーロム駅やスクンビット駅、そして三大寺院から徒歩圏内のサナームチャイ駅へ乗り入れしているため、旅行者にとっても利便性の高い路線です。
2022年に開通したイエローライン、ブルーラインが乗り入れしているラートプラーオ駅からBTSスカイトレイン・スンビット線が乗り入れしているサムロン駅間を運行しています。旅行者が利用する機会は少ないかと思いますが、スアンルアンラマガーオ駅は、人気のナイトマーケット「シーナカリン鉄道市場」の最寄り駅になっています。
2021年に開業したSRTダークレッドライン、現ターミナル駅のクルンテープ・アピワット中央駅からランシット駅間を運行しています。
特筆すべきは、ドンムアン空港に直結している「ドンムアン駅」が利用できますので、LCC(格安航空会社)を利用される方にとっては非常に便利な路線です。
2021年に開業したSRTライトレッドライン、現ターミナル駅のクルンテープ・アピワット中央駅からタリンチャン駅間を運行しています。
記事作成時は3駅(約1.7km)のみの非常に短い路線ですが、人気のショッピングモール「アイコンサイアム」と直結しているチャルンナコーン駅が含まれるため便利な路線になります。
また、パープルラインとの接続も計画されているため、ノンタブリー方面からのアクセスが向上します。
タクシー
街中で最もポピュラーな移動手段で、メーターの初乗り料金は通常35バーツ(バンコクの場合)、そこから距離や時間に応じて料金が加算されます。
タクシーはメーター制が基本です。
乗車時に運転手がメーターをスタートさせることが一般的ですが、もしスタートしない場合は「メーターでお願いします」と伝えることが重要です。
タクシー運転手の中には、メーターを使わずに交渉を持ちかけることもあります。
特に観光地や深夜の時間帯、雨天の日はそのようなケースが発生することが多く見受けられますが、交渉してくるタクシーは避けていただく方が無難です。
また、最近では「ターボメーター」と呼ばれる通常よりも早く料金が上がる不正メーターを使用したタクシーの検挙が多く報告されていますので、こちらも注意が必要です。
乗車方法は日本とは異なり、手を上に上げるのではなく水平よりも下側へセットして手のひらをヒラヒラさせて停めます。
次に助手席か後部座席のドアを開けて行き先を告げて、運転手からOKが出たらタクシーに乗車しましょう。
バンコクをはじめ、タイ全土でよく見かけるタクシーの色はピンクやグリーン、オレンジ、ブルー、イエローなど、カラフルで目立つ車体が特徴的で、これらは運営会社ごとに異なります。
路線バス
バンコクには200以上の路線があり、都市内や郊外を結ぶバスが運行されています。
大きくエアコン付きのバス(ACバス)とエアコンなしの普通バス(ノンACバス)の2タイプがあり、系統によって運行される場所やエリアが異なります。
エアコンバス(ACバス)はエアコン付きの快適なバスで、乗車する区間の長さにより料金(約10~40バーツ)が異なります。
普通バス(ノンACバス)はエアコンなしのバスで、料金(約6~25バーツ)が乗車区間に関係なく一律料金で安いため混雑することが多いです。
路線バス利用の最大のメリットは、駅から離れている辺鄙な所へ安い運賃でアクセスできることです。
路線は非常に複雑ですが、Googleマップや路線アプリなどで簡単に案内してくれますので、乗り継ぎが必要な場合も安心してご利用いただけます。
降車する場所は常時注視しておかないと乗り過ごしてしまう場合もありますので、事前にリサーチしておくかGoogleマップなどで位置情報を常時確認できるようにしてください。
また、同じ系統(番号)のバスが同時に2-3台繋がって運行している事も珍しくはありません。
特に大通りでの乗降は、交通量も多く危険が伴うケースが多々あります。
また、乗降中に発車してしまう短気なドライバーも存在していますので、くれぐれもご注意ください。
ロットゥー(乗合バン)
ロットゥーとは、都市間や観光地間を結ぶ場合などに便利な交通手段として利用されており、そのほとんどがトヨタのハイエース(コミューター)が使われ、約10〜15人ほどが乗車できるスペースを提供しています。
バンコクからアユタヤやパタヤ、メークロン、ホアヒン、チャチュンサオなど、主要観光地へ運行しています。
バンコクでは、各バスターミナルからの発着で、鉄道よりも本数が多く所要時間も短くなります。
ロットゥーのメリットの一つですが、ルート上であれば自由に降車することも可能です。
ロットゥーの唯一の難点は、人数が揃わないと出発しないことです。
運が良ければ待ち時間は少なくて済みますが、集まらない時は長時間待たされることもあります。
モタサイ(バイクタクシー)
モタサイとは、バイクやオートバイを指す言葉で、タイでは一般的に「バイクタクシー」として知られています。
料金は、乗車区間や距離などにより異なりますが、おおよそ10〜40バーツが目安となります。
大きな紙幣ではお釣りが用意できないケースがほとんどなので、事前に小銭や小額紙幣(20〜100バーツ札)を準備しましょう!
タイでは、モタサイは非常に普及しており、地元民の足として日常生活の中で広く利用されています。
特に交通渋滞を避けることができるため非常に人気がありますが、その一方ですり抜けやノーヘルなどの危険性も多く見受けられます。
タイの都市部や郊外では、「ソイ」が非常に多く存在します。
「ソイ」とは、メインとなる大通り(例:スクンビット通りやトンロー通りなど)から伸びる側道、小さな通りのことで、モタサイはソイを行き来している定期ルートの場合が多いですが、交渉により希望の目的地へも運んでくれます。
ソンテウ
ピックアップトラックを改造して荷台部分に座席と屋根を設置した車両で、エリアにより形状や大きさが異なるのも特徴の一つです。
乗り合いタクシーの一種で、特定のルートを走るものや、目的地を交渉してチャーターすることもできます。
また、タクシーが運行していない場所では、タクシーの代わりとしても利用されています。
特にパタヤでは、ヒーチロードを中心に多くのソンテウが巡回していますので、ルートを思えると非常に便利な交通手段になります。
乗車方法は、路上で手を挙げて止めるのが一般的で、バス停のような固定の乗降場所がない場合もあります。
(助手席も利用可能ですが、年配の方や子供、女性の方へ譲っていただくとスマートです)
降車方法は、日本のバスと同様にブザーが付いていますので、希望の降車場所になりましたら押してください。
料金は、距離やルートに応じて異なりますが、非常に安価で数バーツから利用できます。
スーツケースなど大きな荷物を積載する場合は2名分の料金が必要になるケースもあります。
メリットは、タクシーやトゥクトゥクと比べて運賃が安く、都市部から地方の村まで幅広く運行していることです。
デメリットは、通勤時間帯などは非常に混雑し、雨季の利用や一部の荒い運転には注意が必要です。
特に満席時に最後部のステップ部分に乗る場合は、手すりにつかまり落ちないよう注意が必要です。
スクンビットエリアで活躍する軽トラックを改造したシーロー、ソンテウよりもひと回りが小さくスクンビットエリアの細い通りで活躍しています。
ボート
ボートの中でも特にメジャーな「チャオプラヤーエクスプレス(Chao Phraya Express)」は、タイの首都バンコクを流れるチャオプラヤー川で運行されている公共のボート交通システムです。
地元の通勤や通学はもちろん、観光客にとっても非常に便利な交通手段であり、バンコク市内やその周辺の主要な観光地を川沿いに結んでいます。
そのメリットは交通渋滞がないため、時間通りに移動することができることが最大のメリットです。
チャオプラヤーエクスプレスには、異なる色の旗を掲げたボートがあり、それぞれルートや停留所、用途が異なります。
- オレンジ旗ボート:主要停留所を結ぶ便利なルート
- 黄色旗ボート:高速ルートで停車駅が少ない
- ノンフラッグボート:全停留所に停まる各駅停車
- 青旗ボート(ツーリストボート):観光客向けで主要な観光地を巡る
旅行者に人気のツーリストボート「Hop On Hop Off Boat」は、英語音声ガイドやお手洗い、無料WiFiなどのサービスが付いています。
特に日が落ちてからライトアップされたワットアルンと宝石箱のように輝くアイコンサイアムが最大の見所です。
チャオプラヤーエクスプレスの運行ルートは、南のサトーン桟橋(BTSサパーンタクシン駅近く)から北のノンタブリー桟橋までを結ぶルートを運航しています。
途中には多くの桟橋があり、重要な観光地や地元の市場、寺院などにアクセスできます。
運賃は非常にリーズナブルで、ボートの種類や距離により異なりますが、一般的に約20〜40バーツほどです。
ツーリストボートは、やや割高で1回30バーツと1日乗船券が150バーツです。
チャオプラヤーエクスプレス以外にも多くの運河ボートが運航しており、特にセンセーブ運河ボートがメジャーです。
旅行者の多くが宿泊するスクンビットエリアですが、北側のペッブリー通りに近いホテルに宿泊されている方にとっては非常に便利な交通手段になります。
交通量の多いセントラルワールド付近まで、安価な料金で渋滞なしで移動ができるため重宝します。
運航中は、水しぶきが掛かることがありますので、できる限り中央の席を利用するか、端の席の場合は備え付けのビニールカバーを上げて対策をしてください。
トゥクトゥク
タイを代表する前輪1つと後輪2つを持つ三輪自動車のタクシーで、特にバンコクをはじめとする都市部で広く運行されています。
排気音が「トゥクトゥク」と聞こえることから付けられた名称で、地元の人々の交通手段としてだけでなく、その独特なデザインや特徴的なエンジン音から観光客にも人気のある乗り物です。
メーターはなく、運賃は交渉制で決まるのが一般的で、距離や時間帯によって料金が変動します。
特に観光客が相手の場合、割高な料金を提示されることが往々にしてありますので、交渉のスキルが必要になります。
道路が混雑していても小回りが利くため利便性が高い反面、中には運転の荒いドライバーも存在しているので十分に注意したい。
サムロー
サムローは、三輪自転車のタクシーで、特に地方都市や農村部で見られる移動手段です。
特に観光地では、観光客が地元の雰囲気を楽しむために利用するケースが多く、日本で例えるなら浅草の人力車に近いイメージです。
サムローは特に地方の観光地「アユタヤ遺跡」や「チェンマイ」、「カンチャナブリー」で乗ることができます。
基本的に距離に応じた料金がかかりますが、 観光地では交渉制になることもあります。
空港編
スワンナプーム国際空港から運行しているエアポートバスの路線S1は、カオサン通りとワットチャナソンクラームを経由してサナームルアン(王宮前広場)へ向かうルートです。
朝6時から夜20時まで運行しており、運賃は1名あたり60バーツです。
パタヤ行きのバスも朝7時から夜21時まで約1時間毎に発着しています。
この他にもホアヒン行きのバスも運行しています。
24時間対応可能なリムジンサービス、行き先(距離)や車両タイプにより料金が異なります。
スワンナプーム国際空港とバンコク中心地を結ぶ空港連絡線のエアポートレールリンク、ラッシュ時の移動の際は重宝します。
午前5時30分から深夜0時まで、10-15分間隔で運行しており、途中のマッカサン駅でMRTブルーライン、少し離れていますがフアマーク駅でMRTイエローラン、終点のパヤータイ駅でBTSスカイトレイン(スクンビット線)とそれぞれ接続しています。
日本でもメジャーなレンタカー会社が空港カウンターに入っていますが、慣れない土地での運転は控えていただく方が無難です。
スワンナプーム国際空港から最もポピュラーな移動方法です。
バンコク中心地へ移動する場合、運賃の他に高速代(75バーツ)や空港使用料(50バーツ)が必要になります。